医薬品の一部を販売することができる登録販売者は、取得しておくと役立つ国家資格です。
ただ、仕事内容についてはあまり詳しくわからないという人もいるでしょう。登録販売者の仕事内容や将来性、給与、やりがいや向いてる人、向いてない人など、具体的に紹介します。
登録販売者はどんな資格?
まずは、登録販売者がどんな資格かについて特徴や取得のメリット、他に比較されやすい資格などと合わせて見ていきましょう。
登録販売者の特徴
登録販売者は医薬品の一部を販売できる資格です。
一般用医薬品の販売を行うのは従来は薬剤師に限られていました。それが改正されたのが2009年の薬事法で、そのとき新設されたのが登録販売者の資格です。薬剤師といえば薬科大学で専門課程を履修したうえで国家試験に合格する必要がある国家資格です。
これに対して登録販売者は、国家資格でありながら薬剤師試験より受験資格がゆるめになっています。高校卒業程度の学歴で1年間の実務経験があれば誰でも受験でき、合格率も全国平均で50%ほどと高めです。
登録販売者の試験は都道府県によって異なり、試験に合格して登録販売者として働く場合は最初に働く都道府県で販売従事登録をする必要があります。
一度販売従事登録をすれば、その後はどこの地域でも登録販売者の仕事をすることができます。ただし、登録販売者が扱える医薬品の種類は限られています。
一般用医薬品には第一類から第三類までの種類があり、薬剤師は全ての医薬品を販売可能です。登録販売者には、第二類と第三類の医薬品販売だけが許されています。
登録販売者の資格を取得するメリット
一般用医薬品を販売している業者は、ドラッグストアや薬局をはじめ、通販業者、コンビニ、スーパーなど多彩に広がってきています。
これまでは薬剤師がいないと一般用医薬品の店舗販売業として認められなかったのが、第二類と第三類の医薬品なら登録販売者がいれば認められるようにもなりました。
そのため、ドラッグストアなどで登録販売者の資格取得を推奨しているところもあります。資格を取得することで特別手当がつく場合もあり、仕事の範囲が広がる点でもメリットとなるでしょう。
登録販売者と比較されやすい資格
医薬品を取り扱うという意味では、登録販売者と比較されやすい資格として調剤薬局事務があります。調剤薬局に医師から出された処方箋を持っていくと、はじめに受付してくれるのが調剤薬局事務員です。
調剤される薬剤についての事務全般を担当しており、直接患者に対応する仕事ですから、ときには医薬品についての専門的な質問をするようなこともあります。
会計を担当したり薬局内の清掃をすることもあるでしょう。医薬品に関わる資格として登録販売者と両方取得しておくのもいいかもしれません。
登録販売者の仕事内容は?
登録販売者の資格を取得するとどんな仕事に就けるのか見ておきましょう。
第二類・第三類医薬品を販売する
一般用医薬品には一類・第二類・第三類という種類があります。このうち、登録販売者は第二類医薬品と第三類医薬品を販売する資格があります。
ドラッグストアやコンビニ、スーパーなどでも登録販売者が薬剤師がいないと医薬品の販売はできません。気軽に買えるように並んでいるようでいて、実は専門的な資格がないと医薬品は販売できないのです。
医薬品の説明をする
薬剤師は医薬品を買い求めに来た人に的確なアドバイスを与える役目も持っています。体調を聞いてふさわしい医薬品をすすめたり、客や患者の相談に乗ることができるのも薬剤師ならではの仕事です。
これと同じ役目を第二類・第三類医薬品について行えるのが登録販売者です。資格を持っていないと薬をすすめるどころか相談にも乗れません。
薬に関しては、薬剤師さんか登録販売員の資格を持っている社員さんが説明をしています。ましてや第一類医薬品は薬剤師さんしか販売できないので、バイトが説明するなんてもってのほかです。引用:教えてgoo
品出しなどを行うことも
第二類・第三類医薬品を取り扱うお店としてドラッグストアをはじめコンビニや量販店、スーパーなどがあげられます。こうした店舗では医薬品のみを扱っているとは限りません。
日用品や化粧品などを取り扱っていることもあり、ドラッグストアでも食品を扱う店舗が増えています。医薬品以外の品出しや会計をする可能性も高く、力仕事を任されるシーンもあるでしょう。
接客対応
ドラッグストアなどは競争が激しい業界です。資格があるからといって愛想のない態度で接客を行っていては店舗の売上に響いてしまう恐れがあります。
そのため、接客態度の教育に力を入れるドラッグストアは少なくありません。医薬品以外の商品を扱っているお店と同じで来店する客は様々です。
中には理不尽なクレームをつけてくる人もいれば、愛想よく接しても不機嫌そうな客もいます。それでもにこやかに対応する接客姿勢が登録販売者にも求められます。
ドラッグストアで働いた場合ですが、お客さんの中には商品名だけを言ってくる方もいます(例えば「バフ○リン下さい」とか)。知っている商品名だと良いのですが、化粧品の名前や毛染めの名前だけを言う方もいますので、よく売れる商品名等はチェックしておいた方がよろしいかと・・・引用:教えてgoo
登録販売者の将来性
第二類・第三類医薬品の販売が登録販売者と薬剤師にしか許可されていないのは、医薬品の取り扱いには人の健康を左右するというリスクが伴うためです。
客から指定された医薬品を販売するだけならロボットにもできるかもしれませんが、相談業務となると微妙です。薬に関してアドバイスできる資格を持っている登録販売者でも、慎重に相談に乗って医薬品を選ばなければなりません。
また客とのコミュニケーションが求められるという点ではAIなどには対応しにくい仕事です。将来的にAIに仕事を奪われるという心配はまだまだ少ないでしょう。
ただし、競争の激しい業界で登録販売者も多いことから、専門的な知識と同時に接客対応のスキルも磨いていかないと競争相手に負けてしまう恐れもあります。
登録販売者の1日の仕事の流れ
登録販売者は、ドラッグストアをはじめとする一般用医薬品を取り扱う店舗に就職するのが一般的です。あるいは通販会社に勤務したり、独立して店舗を運営するのも働き方の一つです。
雇用されている場合、勤務時間はシフト制になることが多いでしょう。24時間営業の店舗で働く場合は夜勤に入ることもあるかもしれません。
勤務時間内の業務は接客、品出し、業務に関する書類作成などが基本です。ほとんどの時間は接客と品出しの繰り返しになるでしょう。
接客といっても、レジを打って品物を袋に入れて渡すだけで終わりとは限りません。医薬品について相談を受けたら対応し、的確なアドバイスをするのも登録販売者の役目です。
第二類・第三類医薬品と登録販売者が扱える医薬品の種類は限られていますが、これらの医薬品は第一類よりも商品がたくさんあります。商品を覚えるだけでも大変で、帰宅しても医薬品の勉強に追われるという人もいます。
登録販売者の大変なことや難しいこと
やりがいのある登録販売者の仕事にも大変なことや苦労することなどがあります。どんな点が大変なのか紹介しておきます。
客の相談に正しく役立てるか
何気なく販売されているように見えて、医薬品の販売は責任の重い仕事です。万が一客が健康を害した場合、自分がすすめていなくても販売したというだけで責任を追及されかねません。
正しい知識を持って医薬品のアドバイスをする緊張感は重要で、新商品が発売されるたびに知識を仕入れなければならない苦労もあります。
シフト制の勤務形態
調剤薬局と違い、ドラッグストアなどの店舗は長時間営業のところがほとんどです。そのためシフト制で勤務することになるのが基本です。
遅番はしたくない、早番は苦手という人にはシフトを選べれば好都合でしょうが、早番も遅番もしてほしいという職場では都合のよいシフトを選べないかもしれません。
力仕事も少なくない
登録販売者が勤務することが多いドラッグストアなどの店舗では、日用品や食品などを扱っているところが少なくありません。
トイレットペーパーのようなかさばる商品もあれば、飲料のような重いケースを扱うこともあります。そうした商品をレジで販売するだけならそれほどの体力を必要としませんが、品出しも平等に担当することになると力仕事から逃れることができません。
お店によっては接客よりも品出しのほうが多い場合もあり、体力に自信がないと続かないこともあるでしょう。
登録販売者のやりがいやどんな人に向いた仕事か
登録販売者として働くやりがいはどんなことか、またどんな人に登録販売者の仕事が向いているのか紹介します。
スペシャリストとして働ける
登録販売者は、薬剤師と共に医薬品を扱える資格を持った職業です。医薬品のスペシャリストとして働けることから、単なる販売スタッフとは一線を画した気持ちで仕事ができるでしょう。
客の相談に乗ったり的確なアドバイスができたときには、さらに大きな手応えを感じられるはずです。
接客のコミュニケーションがうまくいったとき
登録販売者が接客を担当する相手は、医薬品のみを買いに来ているとは限りません。コンビニ感覚でドラッグストアを利用する人もいますし、素っ気ないコミュニケーションで終わりになってしまうこともあり得ます。
しかし、登録販売者のほうからにこやかに対応することで客が気持ちよく買い物できるのは確実です。もう一歩進んで、簡単でもコミュニケーションをとることができるようになれば、接客にやりがいを感じられることでしょう。
登録販売者に向いている人
例えばドラッグストアに勤務していても、登録販売者の資格を持っているかどうかいちいち確認しない客も少なくありません。
ただ速やかに会計をしてくれればいいと思っている人もいるでしょう。しかし、医薬品についての相談を受ける機会が少ないとしても、気持ちよく接客できることが登録販売者の評価ややりがいにつながります。接客が好きな人、コミュニケーションが好きな人は登録販売者に向いています。
医薬品は常に新しい商品が開発され市場に出ています。古くからある医薬品について知ることはもちろんですが、新商品が出るたびに専門知識を備えておくことも大切です。常に向上心を持って仕事に取り組めることも、登録販売者として必要な要素といえるでしょう。
登録販売者の給与は?
登録販売者になると、どのくらいの収入を得られるのでしょうか。将来的な収入の見込みについても、合わせて紹介します。
登録販売者の年収、月収
雇用された場合の登録販売者の平均的な年収は300万~400万円といったところです。一般的な年収とあまり変わりがなく、販売業の中では安定的なほうではないでしょうか。
ただし、アルバイトやパートタイマーの場合は、思うようにシフトに入れないこともあり収入が不安定になる可能性があります。
安定した収入を得るには、正社員や派遣社員の雇用形態を選んだほうがよいでしょう。また、正社員の場合は昇給の可能性も出てきます。店長になるなど管理職として出世することで年収アップに期待できます。
独立した場合の収入
登録販売者の資格を持っていれば、自分で店舗を運営したり通販業者として独立することも可能です。いずれも、店舗の運営が上手くいけば店員として雇用されるより年収を上げられる可能性が出てきます。
ただし競争が激しい業界ですから、ビジネスを軌道に乗せるまでは大変です。なかなか軌道に乗らず、年収が200万円程度という店舗経営者もいます。独立して採算が見込めるかは、慎重に検討する必要がありそうです。
将来的に収入がアップしそうか
登録販売者として勤務し、管理職にまで出世すれば収入アップの見込みは高いでしょう。ただ他の店員と同列の登録販売者のままでは、収入は就職時とあまり変わりがないかもしれません。
お店によっては売上成績を上げることによって手当が付くようなところもあるかもしれませんから、仕事を探すときには待遇面をしっかりチェックすることをおすすめします。
まとめ
登録販売者の資格は薬剤師よりは取得しやすい国家資格です。国家資格というだけで価値が高く、働ける場所も数多くあるのがメリットです。
安定した仕事に就きたい、専門的な仕事がしたいという人は登録販売者を目指してみませんか?