少子化の日本で大事にされる子供の保育に関わる保育士は、取得しておくと役立つ国家資格です。
ただ、仕事内容についてはあまり詳しくわからないという人もいるでしょう。保育士の仕事内容や将来性、給与、やりがいや向いてる人、向いてない人など、具体的に紹介します。
保育士はどんな資格?
まずは、保育士がどんな資格かについて特徴や取得のメリット、他に比較されやすい資格などと合わせて見ていきましょう。
保育士の特徴
ゼロ歳から就学前の子どもの世話をするのが保育士の仕事です。家庭における育児とは別のお世話で、その目的は大きく分けて2つあります。
1つは、乳幼児の生命の安全を保障し、情緒の安定を図る養護です。もう1つは、心身の健康増進を図るための教育です。
人の子どもを預かっている以上どちらにも細心の注意が必要ですが、ニュースでも報道されることがあるように、ときには保育施設で乳幼児の生命が失われてしまう事故などもあります。
子どものお世話をするだけでも心身共に大変な仕事ですが、事故やトラブル、病気などを防ぐ注意も常に必要です。
保育士は国家資格で、国家試験に合格することで資格を取得できます。受験資格は18歳以上で大学に2年以上在学し、62単位以上修得した者、あるいは大学に1年以上在学して年度中に62単位以上修得する見込みがある者などです。
短期大学や高等専門学校、専修学校専門課程を卒業した者も含まれます。他にも児童福祉施設で実務経験を積んだ人にも受験資格が与えられます。
10科目もの筆記試験があり、その全科目に合格しないと実技試験に進めないなど厳しい基準から難易度は高めの試験です。
ただし、3年間以内に全科目に合格すればよいという条件もあり、1年での合格を目指すのでなければ比較的取得しやすい資格と考えることもできます。独学や通信教育の過程を経て、国家試験を受験することも可能です。
保育士の資格を取得するメリット
保育士の資格は国家資格という価値があり、一生ものの資格でもあります。取得しておけば就職や転職に役立ちますし、最近では企業や店舗などで保育サービスを行うところも増えてきているので勤務先は広がっています。
一般的な仕事のように大人と接するシーンより圧倒的に子供と接している時間が長いため、子ども相手に仕事をしているほうが楽しいという人にはメリットに感じられるでしょう。
保育士と比較されやすい資格
子どもに接する仕事としては、幼稚園教諭免許を筆頭にベビーシッター、チャイルドケア、チャイルドマインダー、チャイルドコーチングなどの資格が挙げられます。
幼稚園教諭免許以外は民間資格ですが、最近ではベビーシッターを頼む人も日本で増えてきており、子どもの教育に熱心な家庭ではお受験準備のように専門家に子供の世話を託す家庭も出てきています。
ただ、やはり国家資格である保育士の前にはレベルがダウンしてしまうのが民間資格の特徴です。
保育士の仕事内容は?
保育士の資格を取得するとどんな仕事に就けるのか、見ておきましょう。
子どもに日常生活の仕方や集団行動を教える
保育士が預かる子供はゼロ歳児から就学前の幼児と幅広いのが特徴です。年齢別にクラスが分けられている保育施設もありますが、いっしょに面倒が見られている施設もあります。
いずれにせよ乳幼児の日常的なお世話をするのが保育士の仕事の基本です。食事・排泄・散歩・遊びなどのお世話をするのに加えて、着替えや排泄・食事などを1人でできるように教育する役目も持っています。
保育施設に預けられた子供は、家庭とは違う集団生活をすることになります。就学前に集団生活に慣れておくこと、集団の中でどのようにふるまうべきかを身につけることは重要です。子どもの個性を殺さず、集団生活にも慣れるようにするのが保育士に求められる仕事です。
保護者に1日の出来事や健康状態を伝える他に、子供が自立して一人で日常生活を送れるような常識と知識を与えてあげることが必要です。引用:教えてgoo
発達段階に応じた保育計画を立てて実施する
保育計画は発達段階に応じて計画・実施されなければなりません。年齢に応じた計画も必要ですが、個別の発達に合わせることも大切です。
社会生活や日常生活を教える他に歌や遊びを教えることもあり、子どもによって異なる得意不得意を察して成長を促してあげるのも保育士の役目の一つです。
保育計画には保護者の協力も不可欠です。安全面なども含めて日常の報告や相談は日々保護者と行うことになります。子どもと接するよりも保護者との関係に緊張感を覚える保育士もいます。
乳幼児の健康管理をする
どんなことが危険か自分で健康管理や安全管理ができない乳幼児の健康管理や危機管理は保育士の重要な仕事です。
ほんの一瞬目を離したスキにケガをしてしまう子供がいたり、感染症にかかってしまう子供もいます。寝ている間に体調が急変したことを見過ごしてしまう例などもあり、取り返しのつかないことにならないように気を配らなければなりません。
保育士の将来性
保育士の仕事は、進化したAIに完全に奪われてしまうような心配はあまりありません。子どもの世話をするのはきめ細かい配慮が必要でコミュニケーションも重要です。
ただし、現状では既に少子化が目立ってきている日本では、保育施設の数自体が少なく勤められる職場がないという問題もあります。
一方では保育所に入れなくて困っている保護者もいますから、近い将来的には独立運営する保育所が増えていくのが理想でしょう。
ただし保育所の運営は責任も重く、並大抵の努力で出来ることではありません。逆に、自力で保育所を開きたい、フリーで子供を預かりたいというような人には将来的にも大いに見込みのある仕事です。
保育士の1日の仕事の流れ
保育士の朝は子どもの迎え入れから始まります。子どもがやって来る前に清掃を済ませておく必要があり、当番制でシフトが組まれる施設もあるでしょう。
登園して来る子どもには体調や顔色、傷がないかなどをチェックして異変があれば保護者に確認し、預かっている間に悪化するようなら連絡することを伝えます。
日中は、子どもと遊びながら出来ることを増やしていったり信頼関係を築いていきます。その流れには保育計画があり、発達段階を念頭に置いた個別の世話も必要です。
給食やお弁当、おやつなどの食事をする時間があるのも保育施設の特徴です。好き嫌いなく食べることも大切ですが、食事のマナーを教えることも欠かせません。食が進まない子供の体調を心配することも重要です。
お昼寝中も気を抜けません。子どもが寝付くまでは側で見守ってあげる必要がありますが、寝付いてからも子供の体調が急変していないかに配慮しなければなりません。うつぶせになったり布団に埋もれて息ができなくなってしまう乳幼児もいますから、気を抜けない時間です。
保護者が迎えに来たら、スムーズに送り出すと同時にその日あったことを保護者に報告することになります。
ときには、保護者が遅れて来るのを待たなければならないことがあるかもしれません。保護者と接するときは、保護者からの相談やリクエストなどを受けることもあります。
保育士の大変なことや難しいこと
やりがいのある保育士の仕事にも大変なことや苦労することなどがあります。どんな点が大変なのか紹介しておきます。
保護者とのやり取りにストレスを感じることがある
保育士をしていて最もストレスを感じるという意見が多いのが、保護者とのやり取りです。保護者にしても、大事な子供を預けている保育士や保育所のやり方に不満を覚える瞬間が多いかもしれません。
お互いに意見を押し通そうとしていると衝突しかねません。保育士が接していて感じる子供のサインを伝えようとしても、保護者が受け止めてくれないこともあり、なかなか思いが通じないと落胆する保育士も多いのです。
休憩時間に落ち着けない
保育士にとって子どもと一緒にいる時間は休憩時間などあってないようなものです。かろうじて食事やトイレに行く時間は確保できても、1人でいるときや大人と過ごしているときのように自由には行動できません。常に子供の監視下にあるようなもので、つきまとわれ子どもから目が離せないのも事実です。
収入が低く人間関係で苦労することもある
保育所などに雇用されている保育士の給与は、一般的な仕事に比べるとかなり低めです。介護の仕事よりも低いといっても過言ではなく、しかも収入アップしにくい傾向があります。
さらに、保護者や保育所内の人間関係に悩んでしまうこともあり、そうした悩みが高じて離職してしまう人も少なくありません。
私の場合は一緒に組む先生に恵まれていたのですが友人は人間関係に悩んで辞めた人が何人かいます。後は給料が少ないことですね、あと日焼けするとか・・・引用:教えてgoo
保育士のやりがいやどんな人に向いた仕事か
保育士として働くやりがいはどんなことか、またどんな人に保育士の仕事が向いているのか紹介します。
子供の成長や喜んでいる姿を見たとき
保育士の仕事は、子どもの発達段階に合わせてお世話をしたり成長を促すことです。昨日できなかったことが今日はできるようになっていたり、保護者ですら目にすることがないシーンを先に保育士が目にすることもあります。
子どもが幸せそうに時間を過ごしているとき、成長を感じられたときにはやりがいを感じられるでしょう。
保護者と通じ合えたとき
保護者に子供の状況を伝えるのも保育士の仕事の一つです。
保護者とのやり取りは上手くいくときばかりではありませんが、子どもの問題を伝えられたときやアドバイスを受け入れてもらえたときなどには役立ったと感じられることでしょう。保護者から相談を受けたときなども信頼されているのだという実感を得られるはずです。
保育士に向いている人
何より子どもが好きな人、子どもの幸せを考えてあげられる人が保育士に向いています。保育所にいる間は、子どもにとって全面的に頼りにできるのが保育士です。
理不尽な思いを伝えられない子どものことを親身になって考えてあげられるのも保育士です。毎日様々な問題が発生したり子どもの成長を目にする機会がありますが、臨機応変に対応しつつ常に向上心を持って仕事に取り組める人におすすめの仕事です。
保育士の給与は?
保育士になるとどのくらいの収入を得られるのでしょうか。将来的な収入の見込みについても合わせて紹介します。
保育士の年収、月収
保育士の月収は、一般的な保育所に勤務した場合に平均して15万円前後です。パートタイムで働いている場合はもっと収入がダウンし、年収にして300万円得られるかどうかというところです。
住居に不自由がない場合はこのくらいの収入でもやっていけないことはありませんが、日本人の平均年収からしても大幅に低いほうだといえるでしょう。
それでもなりたいと憧れる人が多い職業ですから、やりがいと収入がイコールでなくても続けていけるモチベーションを持ち得る仕事だといえます。
独立した場合の収入
フリーで訪問の保育士をしたり、保育施設の運営をするなどの場合は、雇用されるケースより収入アップを見込めます。
ただし十分な収入を得られるまでには時間も経験も必要です。独立した場合には、雇用されているときとはまた別の苦労が出てきます。
仕事を獲得する苦労や施設の運営に関する業務が増えてくるため、時間や体力を犠牲にしながら収入を確保するというようなことになってくるでしょう。
将来的に収入がアップしそうか
保育士の仕事は、収入的には大きなアップはあまり期待できません。しかし収入以上のやりがいがあるのは間違いありません。
そもそもお金を得るためだけの仕事として選ぶ職業でもなく、子どもが好きだから、教育に関心があるからと保育士を目指す人が多いのです。収入面では十分には恵まれないとしても、充実した仕事ができる職業としてはおすすめです。
まとめ
国家資格である保育士は、取得しておくと一生ものの資格です。日本全国どこでも働けるチャンスがあり、独立することもできます。
保育の現場は将来的に変わってくる可能性が高く、少子化が進んでもあきらめる必要はありません。
従来の保育所だけでなく、様々なサービスの中で施設が設けられるようにもなってきていますから、働き方は広がってきているといってよいでしょう。通信講座などの受講で目指せる資格でもあり、子供好きな方には検討をおすすめします。